庇(ひさし)とは?

建物の出入口、窓や縁側の屋外上部に張り出す片流れで小型の屋根を設けて、日除けや雨を防ぐ装置のことです。

庇(ひさし)の役割

  • 雨除け

    窓を開けっ放しにしていても小雨程度であれば室内へ雨水が侵入するのを防ぐことができます。

  • 直射日光を遮断する

    直射日光を遮ることで、室内温度の上昇を抑えるだけでなく、紫外線によって床仕上げ材や家具等が日焼けしてしまうのを防ぐことができます。

  • 汚れを防ぐ

    雨だれによる窓(開口部)廻りの汚れや窓ガラスの汚れが軽減されます。

庇(ひさし)の歴史

縄文時代たて穴住居から始まった

建物の住居から始まる建築の歴史は、人類の歴史と同じくらい古く、狩猟採集社会から始まりました。日本では縄文時代後期には「たて穴住居」と呼ばれる半地下式の住まいが生まれました。当時から現存しているものはなく、発掘成果の復元建築物でみることができます。
庇に特化した部位の始まりとしては、縄文時代の三内丸山遺跡などで既に、傾斜の屋根が壁から伸び出た「軒」が形成されていることが分かっています。

三内丸山遺跡

時代とともに変化する"庇"

飛鳥時代や奈良時代の古代建築では、寺院を代表とした建築から、軒先の大型化がみられます。また文献などで記されているものでは、平安後期の「年中行事絵巻」において、跳ね上げた蔀戸(しとみど)が庇のような形状で描かれています。蔀戸は寝殿造りや社寺建築に見られますが、後に引き戸が主流になると姿を消していき、江戸時代になると商店の道路沿いに現代でいう「シャッター」のように使用されました。

平安時代後期「年中行事絵巻」
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(https://dl.ndl.go.jp/

庇(ひさし)の種類

日本建築において伝統的に多く用いられている日除けや雨除け用の小型屋根は「腕木庇(うできひさし)」という、柱にほぞ穴を開け、そこに固定する腕木を出し庇を支える形状です。しかし現代日本では洋風の建物が建てられることが多くなってきている為、柱の側面に固定する「陸庇(ろくひさし)」が増加しています。
また、伝統的な日本家屋や歴史的な建造物は、木材を使って作られてきましたが、近年では耐久性などを考慮して金属などの素材を使用することも多くなっています。

日本建築における庇(ひさし)の種類

庇には、上部(屋根部)が緩やかな勾配で下部(軒部)が水平になっている「陸庇(ろくひさし)」、柱に“ほぞ穴”を開け腕木を“ほぞ穴”に差し込んで固定する「腕木庇(うできひさし)」、土間に立てた柱によって支えられる深く張り出した「土庇(つちびさし)」、窓の上に設けられた小さな庇「霧除け(眉庇)」は武将の身に着けた兜の“ひさし”が由来で「眉庇(まびさし)」と呼ばれることがあります。

現代建築における庇(ひさし)の種類

現在、使用されている庇(ひさし)の素材は、耐朽製に優れた“ヒバ”や“スギ”を使用する「木製」、“軽い”“高強度”“錆びにくい”や“意匠性”から幅広い色や形状の「アルミニウム合金製」、“経済性”“防災性”に優れた「ガルバリウム鋼板」、“透明性”や“意匠性”からアルミニウム合金と複合構造の「ガラス」などがあります。

こんなところで使われている!
RIKENのアルミ庇(ひさし)アイラッシュ

<学校>

雨をよける用途以外でも、直射日光を遮る用途でルーバー庇(ひさし)も広く導入されています。

<庁舎・公共施設>

LED付き、大型アームタイプの庇など、お客さまのニーズに合わせてさまざまな種類をご用意しております。

<物流施設・病院・ゴミ処理施設>

出幅の大きい大型アームタイプ、出隅・入隅対応、吊り下げ庇なども対応可能

<商業施設など>

店舗などでは、スタイリッシュなアームレスタイプ・ブラックなども人気です。

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