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アルミニウムとアルミ合金の押出加工について

アルミニウムとアルミ合金の押出加工の特徴と技術的側面

アルミニウムとアルミ合金の押出加工について、その特徴と技術的側面を詳細に述べてみましょう。

アルミニウムの押出加工は、一般に400〜500℃の熱間状態で行われます。このプロセスでは、円柱状の鋳塊(ビレット)を押出機にかけ、高圧力を加えることで、様々な形状のダイス穴から押し出し、細長い製品(押出材)を形成します。この方法は、他の加工法では困難な中空品や複雑な断面形状の製品を一度の工程で容易に製造できるという利点があります。
また、寸法精度が非常に厳しい製品の製造にも適しています。

押出加工には、直接押出法と間接押出法の二種類があります。直接押出法では、ビレットを押し出す際にコンテナ内壁との摩擦により、押出力の約3分の1が失われることがあります。
これに対して間接押出法では、ビレットを押し出しつつコンテナを同時に動かすことで摩擦を最小限に抑え、より低温での押出し、高い寸法精度と均一な組織を持つ製品を得ることができます。
特に、直接押出法では難しい高強度アルミ合金(例えば7075合金)も、間接押出法を用いることで効率良く加工できます。

押出加工は、品質と生産性を高めるため、押出速度の変化やビレットの段階加熱をバランス良く行う等温・等歪速度押出技術が開発されています。
これにより、製品の先端から後端にわたる機械的特性のバラツキを低減し、歩留まり等温・等歪速度押出技術を用いることで、押出材の機械的特性における前後端のばらつきを低減するとともに、全体の押出時間を短縮し生産性を向上させることが可能です。
この技術は、押出材の品質均一性を保ちながら、効率的な生産を実現します。

アルミニウム押出加工

アルミニウム押出機の種類には、動力源として油圧または水圧を利用する2つの主要な方式があります。これらの押出機は多くの場合、水平方向に押出す横型で設計されています。最も一般的な横型油圧押出機では、コンテナの前に固定したダイスに加熱したビレットを押し付ける直接押出法が採用されています。

押出機の押出能力は、500〜3,000トン級のものが一般的ですが、大型押出機への関心も高まっています。
日本には最大9,500トン(使用ビレット径24インチ)の横型油圧押出機があり、世界中では14,000トンの水圧式大型押出機も存在します。

アルミニウム押出加工は、その柔軟性と高精度により、産業機械やエレクトロニクス機器など、幅広い用途で利用されています。
特に、高精度部品や複雑な形状の製品を効率的に製造するための重要な技術です。

アルミニウムの軽量化と強度のバランス、再加工の容易さ、多機能性などを活かして、押出加工は今後も多くの分野で重要な役割を果たし続けることでしょう。

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